月島・勝どき・晴海の土地や家は液状化・浸水が心配でも売れる?調べ方と告知

月島・勝どき・晴海の土地や家は液状化・浸水が心配でも売れる?調べ方と告知

この記事の要点

  • 月島・勝どき・晴海の家や土地も、液状化や浸水を理由に売れなくなるわけではなく、売主は公的な資料で物件の位置を確かめ、知っている事実を伝える
  • 中央区が作成している水害ハザードマップは洪水の2種類(隅田川・神田川・日本橋川版と荒川版)で、内水・高潮・津波の専用マップは作っていない
  • 重要事項説明で位置を示す対象は水防法に基づく水害ハザードマップで、東京都の液状化予測図は対象外だが、売主が知っている事実は契約書の特約があっても告げる必要がある
  • 液状化予測図は地盤の液状化しやすさを相対的に示した目安で、境界は明確でなく、低い地域でも発生しないことを保証するものではない

こんな方に読んでほしい記事です

  • 月島・勝どき・晴海の家や土地を売りたいが、液状化や浸水が心配で売れにくいのではと不安に思っている
  • 区のハザードマップや東京都の液状化予測図の、どれを何のために見ればよいのかを知りたい
  • 売るときに、液状化や浸水について買主にどこまで伝えればよいのか迷っている

月島・勝どき・晴海の家や土地も、液状化や浸水を理由に売れなくなるわけではありません。国土交通省が2020年8月に加えたのは、水害ハザードマップ上の物件の位置を買主に示す義務で、取引を止める仕組みではなく、買主が判断するための材料を渡す仕組みです。売主がやることは、公的な資料で自分の物件の位置を確かめ、知っている事実を整理して伝えることです。

ここで混同されやすいのが、浸水と液状化は別のリスクで、調べる資料も売買での扱いも違うという点です。この記事では、3つの町の成り立ち、浸水と液状化それぞれの調べ方、売るときの伝え方、物件の種類ごとの売り方の順に整理します。水害ハザードマップ全般と重要事項説明の仕組みは、ハザードマップの浸水想定区域にある家を売る前の確認事項のコラムでも詳しく書いています。

売る前に見る4つの資料
図解:売る前に見る4つの資料タップで拡大

月島・勝どき・晴海は、明治以降の埋め立てでできた町

中央区は、一部の台地を除いて埋立地が多く、標高が低い区です。月島は1892年(明治25年)に「月島一号地」として生まれた埋立地で、勝どき1〜4丁目は1894年(明治27年)の「月島二号地」、勝どき5・6丁目は1913年(大正2年)の「月島三号地」にあたります。晴海は東京港の埠頭として整備されてきた場所で、同じ町の中でも埋立ての時期が場所によって違うため、土地の履歴は地番ごとに確かめる必要があります。

埋立地と聞くと不安になりますが、実際の被害は場所によって大きく違います。中央区のサイトによると、2011年の東日本大震災では、黎明橋公園や新月島公園の一部で地表面に亀裂が入る液状化が見られたものの、区は「軽微なものでした」としています。晴海で記録された最大の津波の高さは1.5mでした。

ただし、「あの震災で大きな被害がなかったから今後も大丈夫」と言い切れるわけではありません。地震の揺れの大きさや長さ、地下水の高さによって、同じ土地でも結果は変わります。売主に求められるのは、安全か危険かを断定することではなく、公的な資料で分かる範囲を確かめて伝えることです。

浸水と液状化は別のリスク。調べる先も、売買での扱いも違う

浸水は、川の水や下水があふれたり、海の水位が上がったりして、地表に水が入る現象です。液状化は、地震の揺れで砂の多い地盤が一時的に水のように緩み、建物が沈んだり傾いたり、道路や配管が壊れたりする現象です。同じ「埋立地のリスク」として語られがちですが、起きる仕組みが違うので、調べる資料も別になります。

リスク別・調べる資料

見る資料 作成者 重要事項説明
洪水 洪水ハザードマップ2種類 中央区 位置を示す対象
内水 洪水マップに内水の影響を反映 中央区 専用マップなし
高潮 高潮浸水想定区域図 東京都 区のマップなし
液状化 東京の液状化予測図 東京都 法定の対象外

※中央区サイトの案内(2026年9月掲載)と国土交通省の発表をもとに整理しました。

表のとおり、重要事項説明(契約の前に宅地建物取引士が物件の大事な情報を説明する手続き)で位置を示す対象は、水防法に基づいて市区町村が作る水害ハザードマップです。中央区が作っているのは洪水の2種類で、雨水出水(内水)・高潮・土砂災害・津波のマップは作成していません。区内には土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域も指定されていないと、区は案内しています。

液状化の予測図は、この説明義務の対象に含まれていません。説明義務の対象かどうかと、売主が知っている事実を伝えるべきかどうかは別の問題で、後者はこの後の「売るときに伝えること」で説明します。

浸水の調べ方:区の洪水ハザードマップは2種類ある

中央区の洪水ハザードマップには、隅田川・神田川・日本橋川版と荒川版があります。隅田川・神田川・日本橋川版は2022年3月(令和4年3月)に作られたもので、総雨量690mm、時間最大雨量153mmという、1000年に1回程度の降雨を前提にしています。荒川版は2019年3月(平成31年3月)に作られ、荒川の流域平均で3日間の総雨量632mm(こちらも1000年に1回程度)を前提にしています。

この2枚は、想定している川が違います。荒川版は、堤防が決壊してから区内に水が届くまで12時間とされていますが、隅田川や神田川・日本橋川の中小河川の氾濫、高潮、内水氾濫は考慮していません。同じ住所でも2枚で見え方が違うことがあるため、必ず両方を見て、浸水の深さの色分けを凡例と照らして読み取ります。

区のサイトの本文には、町名ごとの浸水の深さの数値は載っておらず、各版のPDFの地図で確認する形になっています。また区は、マップに反映されていない中小河川や内水の氾濫、土地の形の変化、下水道や河川の整備状況によって、表示と異なる範囲や深さで浸水することがあると注意しています。マップは「目安」として読み、家そのものの高さと重ねて考えるのが現実的です。

浸水実績図と、更新の有無も見ておく

区は、平成12年(2000年)7月以降の浸水箇所を示した「浸水実績図」も公開しています。区のページによると、2026年8月の更新以降、新たな浸水の確認や連絡はないとのことです。売る家の近くに実績があるかどうかは、買主に説明するときの材料になります。

ハザードマップは見直されることがあります。区は2025年9月(令和7年9月)に、洪水ハザードマップの掲載内容の一部変更をお知らせしており、手元にある印刷物ではなく、売却の時点で区のサイトに載っている最新版で確認してください。

液状化の調べ方:予測図は「目安」、土地の履歴で補う

液状化は、東京都が公開している「東京の液状化予測図」(令和5年度改訂版)で確認します。この図は、地盤の液状化のしにくさ・しやすさを相対的に評価したもので、特定の地震を想定したものではありません。都内全体の地下を一律の強さで揺らしたとき(1923年の関東大震災で都心が受けた程度、都内全体で震度6弱程度)の、液状化の可能性を示しています。

見るときに気をつけたい点が2つあります。1つ目は、図は収集した地盤調査の結果をもとに作られているため、「高い・ある・低い」の境界線がはっきりしているわけではないことです。2つ目は、「低い」とされた地域でも、液状化が発生しないことを都が保証するものではないことです。

一部の報道では、以前の予測図で月島1〜4丁目と晴海4丁目が「可能性が高い」区分として紹介されました。予測図は改訂されているため、その区分が今も同じとは限りません。必ず最新版で、売る家の場所を確かめてください。

地歴図とボーリングデータで、土地の履歴を調べる

東京都は、建物所有者や設計者が自分で対策を考えられるように、土地の地歴図(昔の川・池・海などの履歴を示した図)とボーリングデータ(地盤を掘って調べた記録)を、液状化対策のポータルサイトで公開しています。予測図の色だけでなく、売る土地の近くでどんな地盤調査が行われているかを確かめると、予測図の見え方を補えます。

戸建て住宅の地盤調査でよく使われるスウェーデン式サウンディング試験(おもりをかけたロッドを回転させながら地中に貫入させて地盤の強さを測る調査)だけでは、土の種類が分かりにくく、液状化の判定が難しいとされています。国土交通省の研究では、この試験に土の採取や地下水位の測定を組み合わせる方法が検討されています。手元に地盤調査報告書があっても、液状化まで調べた内容かどうかは、書類の中身を確かめる必要があります。

調べる順番と見る資料

  1. 区の洪水マップ2種類住所の浸水の深さを両方の版で確認
  2. 浸水実績図近くで過去に浸水した箇所があるか
  3. 都の液状化予測図最新版で、売る場所の区分を確認
  4. 地歴図・ボーリングデータ昔の水辺や近くの調査記録を確認
  5. 手元の書類地盤調査・改良工事・保険証券を探す

※高潮は、東京都が公表する高潮浸水想定区域図で別に確認します。

売るときに伝えること:重要事項説明の対象と、知っている事実の告知

売却を不動産会社に依頼した場合、買主への重要事項説明で、水害ハザードマップ上の物件の位置が示されます。国土交通省によると、2020年8月28日の施行から、市町村が配る印刷物か、ホームページに載っているものを印刷した最新のものを使って、物件のおおよその位置を示すことになっています。区域に入っていない場合でも、買主が「水害の心配はない」と誤解しないよう配慮することが求められています。

液状化は、この説明の対象に入っていません。しかし、対象かどうかとは別に、売主が知っていて伝えなかった事実は、契約不適合責任(売った物が契約の内容と違ったときに売主が負う責任)を負わない特約を付けても、民法572条により責任を免れません。たとえば過去に建物の傾きや地盤の沈み、地面からの噴砂、浸水があった場合は、その事実を伝える必要があります。

伝えるときは、物件状況等報告書(売主が知っている物件の状態を書く書面)に、いつ・どの範囲で・どう直したかを書きます。修理の領収書、地盤調査報告書、地盤改良の工事記録があれば、一緒に渡すと買主が状況を確かめやすくなります。相続した家で過去のことが分からない場合は、「知らない」と書くことになりますが、近所の方に聞く、手元の書類を探すなど、分かる範囲で確かめておくと後から問題になりにくくなります。

過去に、傾き・沈み・噴砂・浸水のどれかがあった?

YES時期・範囲・修理の内容と領収書を書面にして、査定の前に伝える
NO・不明「ない」または「知らない」を正直に書き、確認できた資料を添える

不安だけで値段が動かないように、根拠をそろえる

買主から、液状化や浸水への不安を理由に値下げを求められることがあります。たとえば3,000万円で売りに出した家で5%の値下げを求められれば150万円です。これは、同じ価格での仲介手数料の上限(3,000万円×3%+6万円に消費税を加えた約105.6万円)を上回る金額で、仮の数字ですが、小さな額ではありません。

区のマップでの浸水の深さ、都の予測図での区分、過去に被害がなかった事実、地盤調査や改良の記録、火災保険の水災補償や地震保険の加入状況を並べて示せれば、値下げの根拠を一つずつ確かめられます。地震保険は、液状化による建物の傾きや沈下についても損害の程度を判定する基準が設けられているため、加入内容を保険会社や代理店で確認しておくと、買主への説明が具体的になります。

路地の家・戸建て・マンションで、売り方はどう変わるか

同じ月島・勝どき・晴海でも、物件の種類によって、買主が重く見る点は違います。大きく3つに分けて整理します。

  • 01路地の奥の古い木造戸建・長屋液状化や浸水より先に、建て替えられるかどうかが価格を左右します。
  • 02地盤改良済みの戸建て調査報告書と改良工事の記録が、そのまま説明資料になります。
  • 03マンション建物の基礎と、地下の電気設備の備えを管理会社に確認します。

路地の奥の古い木造戸建・長屋は、まず建て替えの可否を確かめる

月島には、細い路地に面した古い木造の戸建てや長屋があります。こうした建物では、買主が最初に気にするのは、建て替えができるのか、住宅ローンが使えるのかです。液状化や浸水の影響を考える前に、前面の道が建築基準法上のどの道路にあたるかで、価格の前提が変わります。

月島では、路地の建物の建て替えを可能にするために、区や都が地区計画などの仕組みを設けてきた経緯があります。ただし、どの路地のどの敷地にどの規定が当てはまるかは、一軒ごとに役所で確認が必要です。長屋や路地の家の売却については、中央区の長屋を売るときの注意点のコラムで詳しくまとめています。

地盤改良済みの戸建てと、マンションで確かめること

比較的新しい戸建てなら、建築時の地盤調査報告書や、地盤改良の工事記録、保証書が残っていることがあります。これらは、液状化や沈下への備えを示す最も具体的な資料です。見つからない場合は、建築した工務店やハウスメーカー、地盤調査会社に問い合わせると、控えが残っていることがあります。

マンションは、一般に支持層(建物を安全に支えられる固い地盤)まで杭を打っているため、敷地の下の層が液状化しても建物本体は影響を受けにくいとされています。それでも、買主は、周辺の道路や上下水道の被害、地下の電気設備や給水ポンプの浸水を気にします。管理会社に、基礎の形式、止水板などの備え、長期修繕計画に浸水対策が入っているかを問い合わせておくと、買主への説明がしやすくなります。

売り先は、仲介と買取を並べて考える

液状化や浸水への不安が強い買主が多いと、仲介では売れるまでに時間がかかることがあります。そのときは、仲介と買取の査定を同じ前提で並べて、売れるまでの期間と手元に残るお金を比べると判断しやすくなります。買取業者は、地盤や水害の想定を前提に価格を出し、建物を直して貸す、建て替えて売るといった計画を立てます。

相続した家で遠方に住んでいる、家財が大量に残っている、建物の傷みが進んでいるといった場合は、空き家のまま置く期間が長いほど管理の負担が増えます。売却全体の準備は、売却前の準備のページにまとめています。

調べる段階から、ご相談いただけます
MAIVERSEは中央区東日本橋に事務所があり、中央区・墨田区・江戸川区・台東区・江東区の城東エリアに特化した買取会社です。宅地建物取引士が直接ご相談に対応し、ハザードマップや建物の状態を確認したうえで、買取の条件をご提示します。相続した空き家の売却では、遺産分割協議から相続登記・売却完了までの手続き費用を当社が全額負担しており、弁護士・司法書士・税理士とも連携しています。

月島・勝どき・晴海の家を売る前に、今週確かめたい3つのこと

売ると決めていなくても、次の3つは手間も費用もほとんどかかりません。早めに確かめておくと、査定を受けるときも、買主に説明するときも慌てずに済みます。

1つ目は、区のサイトで洪水ハザードマップ2種類を開き、自宅の位置の色と凡例を確かめることです。印刷して、浸水の深さを書き込んでおくと、あとで家の床の高さと比べられます。2つ目は、東京都の液状化予測図で、同じ場所の区分を確かめることです。区分が出たら、日付と画面を保存しておくと、説明の根拠になります。

3つ目は、家の中の書類を探すことです。地盤調査報告書、地盤改良や補修の工事記録、火災保険や地震保険の証券、過去の浸水や傾きを書いたメモがないかを確かめます。見つからなくても構いません。「見つからなかった」ことも、整理して伝える材料になります。

そのうえで、売り先を比べる段階になったら、家のある町のページから相談できます。月島・佃エリアの売却相談はこちら、勝どき・晴海エリアの売却相談はこちらから、物件の状況をお知らせください。調べ方が分からない、遠方で現地を見に行けないという場合は、空き家の無料相談会でも受け付けています。

参考資料(2026年10月確認)

よくある質問

Q月島の古い家で、地盤改良の記録が見つかりません。売却で不利になりますか?
A記録がないこと自体で売れなくなるわけではありません。建築した工務店や地盤調査会社に控えが残っていないかを確かめ、見つからなければ「記録は確認できなかった」と伝えれば足ります。建て替え前提の買主や買取業者は、自分で地盤を調べて価格を出すのが一般的です。
Q地震保険は、液状化で家が傾いた場合も対象になりますか?
A地震保険は地震による損害を対象とし、液状化による建物の傾きや沈下も、損害の程度を判定する基準が設けられています。支払われる額は契約の保険金額や損害の程度によって決まるため、加入している保険会社や代理店で、証券の内容と合わせて確認してください。
Q勝どき・晴海の高層階のマンションなら、浸水や液状化は気にしなくてよいですか?
A高層階は住戸そのものが水につかる心配は小さくなりますが、買主は、地下や低層階の電気設備、給水ポンプ、周辺の道路や上下水道の被害による暮らしへの影響も気にします。管理会社に、設備の位置や止水板などの備え、長期修繕計画での対策の有無を問い合わせて整理しておくと、説明しやすくなります。
Q売る前に、自費で地盤調査をしておいた方がよいですか?
A必須ではありません。買取や、建て替え前提の買主に売る場合は、買主が自分で調査して価格を決めることが多く、売主が先に調べても価格に反映されるとは限りません。仲介で一般の買主に売る場合に役立つこともあるため、売り先の見込みを立ててから、不動産会社と相談して決めてください。
Qハザードマップの内容は、売却の途中で変わることがありますか?
A見直されることがあります。中央区は2025年9月(令和7年9月)に、洪水ハザードマップの掲載内容の一部変更をお知らせしています。重要事項説明では入手できる最新のものを使うため、売却の時点で区のサイトに載っている版で確認し直してください。

監修

三好 舞代表取締役/宅地建物取引士

株式会社MAIVERSE代表取締役。宅地建物取引士。中央区・墨田区・江戸川区・台東区・江東区の城東エリアで空き家・訳アリ物件の買取に携わり、再建築不可・借地権・相続空き家などのご相談に直接対応している。弁護士・司法書士・税理士と連携し、相続不動産の売却をワンストップで支援。