中央区のペンシルビルを売る方法|収益物件か土地か買取かを比較

この記事の要点
- 中央区のペンシルビルの売り方は、収益物件として売る・解体して土地として売る・買取に対応する会社へ現状のまま売る、の3つに分かれる
- 中央区の案内では、旧耐震の業務商業建築物の耐震診断に、個人・中小企業向けの助成(助成率3分の2、上限額は区の案内で50万円)があり、契約前の交付申請が必要
- 特定緊急輸送道路に接し、昭和56年5月31日以前に着手した建物で、高さが道路幅員のおよそ2分の1以上のものは、耐震診断の実施と報告が所有者の義務になる
- テナントを退去させる場合、貸主からの契約終了には借地借家法28条の正当事由が必要で、立退料が必要になる場合がある
こんな方に読んでほしい記事です
- 中央区にある間口の狭い古いビル(ペンシルビル)を、売るか持つか迷っている
- テナントがいる・空室が多い・建物が古いなど、売り方の選び方が分からない
- 解体して土地で売るのと、そのまま売るのとで、手元に残る額がどう違うのか知りたい
中央区のペンシルビルは、「収益物件として売る」「建物を解体して土地として売る」「買取に対応する会社へ現状のまま売る」の3つから選びます。土地の価格が高い地域のため、建物が古いほど、収益よりも土地の価値が価格の中心になる傾向があります。テナントの退去や解体にかかる費用と時間を引いた手取りで比べるのが、判断の基本です。
この記事では、3つの売り方を仮の数字で比べたうえで、売る前に確かめたい建物(旧耐震・特定沿道建築物・区の耐震助成)と、土地(間口・接道)と、税金の確認点を整理します。数字はすべて仮の例で、実際の価格は物件ごとに異なります。

中央区のペンシルビルは、なぜ売り方で結果が変わるのか
ペンシルビルは、敷地が狭く、細長く建つ小さなビルを指す通称です。1階が店舗や事務所、上の階が事務所や住居という使い方が多く、築年数が古いものは、エレベーターがない、耐震性が不安、設備が古いなど、買主が収益を見込みにくい事情を抱えがちです。
一方で、中央区は都心の商業地で、土地そのものの需要があります。建物の収益力が弱くても、土地として評価されるため、収益物件として売るか、土地として売るかで、価格の考え方がまったく変わります。ここが、郊外の古いビルとの大きな違いです。
当社は中央区東日本橋に事務所があり、日本橋・人形町・茅場町・八丁堀・築地・月島など、区内の町ごとの相談を受けています。町の案内は中央区のページから、東日本橋・馬喰町エリアは東日本橋・馬喰町のページから確認できます。
収益物件・土地・買取。3つの売り方を比べる
売り方によって、買主、価格の決まり方、手間と期間が変わります。どれが優れているかは、テナントの状況と建物の状態で決まります。
ペンシルビルの3つの売り方
| 収益物件で売る | 土地で売る | 買取で売る | |
|---|---|---|---|
| 価格の軸 | 家賃収入 | 土地の価値 | 現状の土地・建物 |
| テナント | 入居中のまま | 退去が必要 | 入居中でも相談可 |
| 期間 | 数か月 | 退去・解体で長い | 短い傾向 |
| 主な負担 | 修繕の見積り | 立退料・解体費 | 価格が下がる場合 |
※一般的な傾向です。個別の条件で変わります。
収益物件として売る場合、買主は、年間の家賃収入から経費を引いた額を、期待する利回りで割って価格を考えます。空室が多い、家賃が相場より低い、修繕に大きな費用がかかるといった事情があれば、その分が価格から差し引かれます。
土地として売る場合は、買主は、建物を解体して新しい建物を建てる前提で買います。建物の収益は関係ありませんが、売主側で、テナントの退去と建物の解体を済ませるか、解体費を見込んだ価格で売る必要があります。
買取は、不動産会社が直接買う方法です。仲介に比べて価格が下がる場合がありますが、買主探しの期間が不要で、現状のまま、テナントがいる状態でも相談できます。急いで現金化したい、建物の不具合が多い、近所に知られたくないといった事情がある場合に向きます。
買取会社は、土地の価値から、テナントの退去や解体、再販までにかかる費用と期間を見込んで、価格を出します。そのため、仲介で買主を探したときの価格より下がる場合がありますが、費用の見積りや買主探しの手間を、売主が負わずに済みます。複数の売り方で見積りを取り、手取りと期間を並べて比べるのが現実的です。
仮の数字で比べる。土地として売る場合と、収益物件として売る場合
数字のイメージをつかむために、仮の例で比べます。敷地約40㎡(約12坪)、築50年のRC造4階建て、1〜2階がテナント、3〜4階が空室というビルを想定します。金額はすべて仮の数字です。
手取りの比較(仮の例)
※土地は解体費900万円・立退料800万円を差し引いた仮の例。収益は年間家賃360万円、経費90万円、利回り6%で計算。
この仮の例では、土地として売るほうが、収益物件として売るより、手元に残る額が大きくなっています。ただし、解体と退去には時間がかかり、その間の固定資産税や、立退料の交渉が長引くリスクがあります。一方、家賃が高く、空室が少なく、建物の状態が良ければ、収益物件として売る価格が逆転する場合もあります。
売るまでの間、固定資産税・都市計画税、修繕費、管理の手間は、毎年かかり続けます。立退きの交渉が長引けば、その分の維持費も増えます。仮の数字の比較には、こうした期間中の費用が入っていないため、実際の判断では、売却までの期間も1つの比較軸にしてください。
テナントを退去させる場合、貸主から契約を終わらせるには、借地借家法28条の正当事由が必要です。契約を更新しない旨は、期間満了の1年前から6か月前までに通知する必要があり(同法26条)、立退料が必要になる場合もあります。見込みが読めないときは、専門家に先に相談してください。
建物の確認点。旧耐震と、中央区の耐震診断の助成
昭和56年(1981年)5月31日以前に工事に着手した建物は、旧耐震基準で建てられています。買主は、耐震性を価格や融資の条件に反映させるため、売る前に診断の状況を整理しておくと話が進みやすくなります。
中央区の案内では、旧耐震基準の業務商業建築物の耐震診断について、個人または中小企業が申請する場合の助成があります(助成率は3分の2、上限額は区の案内では50万円)。区の案内には、契約の前に交付申請をして助成金の交付決定を受ける必要があり、契約後に申請した事業は対象外と書かれています。診断を依頼する前に、区の担当課へ相談してください。
もう1つ、確認したいのが、特定沿道建築物です。中央区の案内によると、東京都が指定した特定緊急輸送道路に敷地が接し、昭和56年5月31日以前に着手した建物で、高さが道路幅員のおよそ2分の1以上のものは、耐震診断の実施と報告が所有者の義務になります。該当するかどうかは、敷地が接する道路と建物の高さで決まるため、区の担当課に確認が必要です。
耐震まわりの確認順
- 建築時期確認済証・登記簿で、着工時期を確かめる
- 道路の種別特定沿道建築物に当たるかを区に確認する
- 助成の相談診断の契約前に、区へ交付申請の可否を相談
- 売却との順番診断結果を価格に反映するかを決める
※助成の上限額・受付状況は年度で変わります。
診断の結果、耐震性が足りないと分かった場合、改修の費用を価格から差し引かれる場合があります。診断を受けるのが先か、診断せずに土地として売るのが先かは、売り方の選択とセットで考えるのが現実的です。
建物の規模や用途によっては、建築基準法に基づく定期報告(特定建築物の調査、防火設備や昇降機の検査など)の対象になる場合があります。対象かどうかは建物ごとに異なるため、区の担当課に確認してください。直近の報告書があれば、買主に示せるようにしておくと、建物の状態の説明がしやすくなります。
土地の確認点。間口・接道・隣地との境界
ペンシルビルの敷地は、間口が狭いことが多く、建て替えられるかどうかが、土地としての価値に直結します。建物を建てる敷地は、原則として建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません(接道義務)。接道が不足していると、解体しても同じ規模の建物を建てられない場合があります。
隣のビルとの境界や、軒・配管の越境も、売る前に確かめたい点です。ペンシルビルは隣地と壁が接している場合も多く、解体時の工事方法や、境界の確認が必要になります。確定測量の要否は、買主の用途によって変わるため、売る前に不動産会社に確認してください。
隣接する土地の所有者に、先に売る話を持ちかける方法もあります。隣の敷地とまとめて建て替えたい隣地所有者にとっては、価格が合えば、有力な買主になります。再建築が難しい場合の考え方は、訳アリ物件の売却の流れのページで整理しています。
税金の確認点。長期か短期か、相続で取得したか
ビルを売って利益が出ると、譲渡所得として課税されます。国税庁によると、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地・建物は長期譲渡所得となり、所得税15%・住民税5%(ほかに復興特別所得税)が課されます。
相続で取得した場合は、亡くなった方の取得した時期と取得費を引き継ぐ扱いです(所得税法60条)。そのため、相続してすぐ売っても、亡くなった方の保有期間が通算されて、長期譲渡所得になるのが通常です。ただし、賃貸していたビルは、建物の取得費が減価償却の分だけ減っており、解体費や立退料が譲渡費用になるかどうかも、売り方で変わります。
賃貸していた土地は、国税庁の小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)が、相続税の評価で使える場合があります。ただし、申告期限まで貸付と所有を続けることが要件のため、売る時期との関係を先に整理する必要があります。税額の試算は、税理士に依頼してください。
中央区のビルの売却は、状況の整理からご相談ください
MAIVERSEは中央区東日本橋に事務所を構え、中央区・墨田区・江戸川区・台東区・江東区の城東エリアに特化した買取会社です。宅地建物取引士が直接ご相談に対応し、弁護士・司法書士・税理士とも連携しています。テナントや建物の状態をうかがい、売り方の選び方からご説明します。
中央区のペンシルビルを売る前に、先に確かめたい5つの順番
売り方を決める前に、次の5点を順番に確かめておくと、収益か土地かの判断がしやすくなります。
- 賃貸借契約書、家賃の入金記録、敷金の額を集め、テナントの状況を整理した
- 建築時期を確かめ、旧耐震なら区の耐震診断の助成を事前に確認した
- 敷地が接する道路の種別と、接道の状況を役所で確かめた
- 土地として売る場合の、解体費と立退料の見込みを、仮でも出してみた
- 売る時期と税金の関係を、税理士に試算してもらった
売却前の準備全般は売却前の準備のページに、買取の流れは買取の流れのページにまとめています。個別の相談は訳アリ物件の無料相談会で受け付けています。
参考資料(2026年10月確認)
よくある質問
- Qエレベーターのない古いビルでも、収益物件として売れますか?
- A売れないわけではありませんが、買主はエレベーターの有無や築年数を、利回りや空室リスクに織り込んで価格を考えます。収益物件として売る場合の価格は、入居状況と修繕の見込みで変わるため、土地としての価値と比べて決めるのが現実的です。
- Qテナントに退去してもらうとき、立退料の相場はどのくらいですか?
- A立退料に決まった計算式はなく、賃料、契約期間、営業の状況、移転にかかる費用などを踏まえて、個別に決まります。金額の見込みを誤ると売却の時期が大きくずれるため、弁護士に早めに相談してください。
- Q耐震診断を受けると、売却の価格が下がりませんか?
- A診断の結果、耐震性が足りないと分かると、改修費を見込んで価格が下がる場合があります。一方で、結果を示さないままだと、買主が不安を価格に織り込むこともあります。診断を受けるか、診断せず土地として売るかは、売り方とあわせて決めてください。
- Q隣のビルとまとめて売ることはできますか?
- A隣地の所有者と合意できれば、敷地をまとめて売ることで、単独で売るより、買主の使い道が広がる場合があります。ただし、双方の事情と時期が合う必要があり、まとめ売りにこだわって時期を逃すこともあります。まずは土地の条件を整理してから、隣地の意向を探る方法が現実的です。
- Q亡くなった親のビルで、相続登記がまだです。先に売却の準備を進めてよいですか?
- A売買契約を結んでも、名義が亡くなった方のままだと、買主に名義を移せません。売却の準備と並行して、相続人の確定と遺産分割協議、相続登記を進める必要があります。相続登記は令和6年4月1日から義務化されているため、早めに司法書士へ相談してください。


