江東区の空き家・古家の売却|解体の判断と税金・助成の目安

この記事の要点
- 江東区の古家は、解体して更地にしても古家付きのまま売っても、売却までの期間や税の増加を含めると手取りがほぼ同じになることがある
- 建物を解体して更地にすると、固定資産税・都市計画税の住宅用地の特例が外れ、税額が数倍になる場合がある(毎年1月1日の状況で判定)
- 江東区には、昭和56年5月31日以前に着工した木造住宅の除却費用の2分の1(上限100万円)を助成する制度があり、交付決定前の工事契約・着手は対象外になる
- 相続した空き家は、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける(相続人3人以上は一人2,000万円まで)。相続登記は取得を知った日から3年以内の申請が義務
こんな方に読んでほしい記事です
- 江東区内の実家や古い家を相続したが、解体して更地にするか、そのまま売るかを決めきれない
- 解体費用、固定資産税の増え方、3,000万円の特別控除を、一度に整理して比べたい
- 江東区の助成や相談窓口が使えるのか、どこに売るのが手取りで有利なのかを知りたい
江東区の古い戸建てを売るときは、解体せずに「古家付き土地」として売るか、解体して更地で売るかを、費用と税金の数字で比べてから決めるのが基本です。木造30坪の解体費用は100万円台が目安で、更地にすると固定資産税と都市計画税の住宅用地の特例が外れ、税額が数倍になる場合があります。
江東区には、昭和56年5月31日以前に着工した木造住宅を対象にした除却助成(費用の2分の1、上限100万円)があり、工事の契約前に申請しなければ使えません。相続した空き家には、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例もあります。この記事では、解体する場合としない場合の違いを、区の制度と数字を交えて順に整理します。

大島・亀戸・砂町の古家は、なぜ「壊すかどうか」で迷いやすいのか
江東区の城東側、都営新宿線の大島駅や西大島駅、JR総武線の亀戸駅、東西線の南砂町駅の周辺には、古い木造の戸建てが残る住宅地が広がっています。北砂三・四・五丁目は、災害時に火災が広がるおそれが高い地区として、東京都の不燃化特区に指定され、区が老朽建築物の除却や建て替えへの助成を行っています。地区の中心は砂町銀座商店街とその周辺の住宅地で、道の狭い区画では、解体の重機や車両の入り方が費用に響きます。
もうひとつの特徴は、土地の低さです。江東区役所の標高はT.P.約マイナス1.3m、南砂二丁目では大正7年から現在までに約4.5m沈下したと、区のページに記載があります。江東区は洪水・大雨浸水(内水)・高潮の3種類のハザードマップを公表しており、古家を売るときも、買主から水害や地盤について質問される場面が少なくありません。
区は令和5年6月に「江東区老朽空家等対策計画」を策定しており、計画期間は令和5年度から令和11年度までの7年間です。空き家を持て余している所有者向けの相談窓口は、都市整備部の建築調整課に置かれています。当社も、江東区大島7丁目のゴミ屋敷・再建築不可戸建の買取に対応した実績があり、成約実績のページに掲載しています。
解体して更地にするか、古家付きのまま売るか。判断の分かれ目
古家付き土地とは、古い建物が残ったまま、土地として売り出す形です。売り出す側は解体費用を先に負担せずに済み、買主は建物の状態や間取りを見て、壊して建て替えるか、手を入れて住むかを選べます。解体して更地にして売ると、買主は更地価格で判断でき、売り出し価格は高めに設定できますが、解体費用を先に出す必要があります。
解体費用は、木造であれば坪あたり3万〜6万円台と、解説サイトによって幅があります。30坪の木造なら、100万円台前半から200万円程度が一般的な目安です。前面道路が狭くて重機やトラックが入れない、屋根にスレート(石綿を含む場合がある)が使われている、家財が残っている、といった事情があると、費用は上がります。解体後に見つかった地中の障害物は、見積りの外になるのが通常で、区の助成でも対象外とされています。
価格の考え方は単純で、古家付き土地の価格は、更地の価格から解体費用の見込みを引いた額が目安になります。ここに、買主が負う手間やリスクの分が加わることもあります。ただし、前提になるのは「壊しても建て直せる土地かどうか」で、最初に確かめたいのは次の判定です。
壊す前の判定
道路に接していて、建て替えを前提に探す買主が多い土地か?
※一般的な整理です。個別の土地は調査が必要です。
再建築できるかどうかは、接道義務(建物を建てる土地が、幅4m以上の道路に2m以上接していなければならないルール)で決まります。下町の古い住宅地では、道路に見えても建築基準法上の道路でない場合があるため、解体を決める前に、役所の窓口で道路の種別を確かめてください。再建築不可の売却については、別のコラムで価格の目安と手取りの計算例を書いています。
更地にすると固定資産税が上がる。税額の変わり方を計算してみる
住宅が建っている土地は、固定資産税と都市計画税に住宅用地の特例が適用されます。200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は、固定資産税の課税標準が評価額の6分の1、都市計画税は3分の1になります。建物を取り壊して更地にすると、この特例が外れます。
特例の適用は、毎年1月1日(賦課期日)の土地の状況で判定されます。解体を年内に済ませて、翌年1月1日までに売れない場合は、翌年度の税額が更地の扱いで計算されます。売却が長引くほど、税の負担は大きくなります。
次の計算は、仮の数字による目安です。土地の評価額を2,000万円、面積を200㎡以下、固定資産税の標準税率を1.4%、都市計画税を0.3%として計算しています。
年間の税額の目安
※評価額2,000万円・200㎡以下の仮の数字。負担調整措置や都税の軽減で実際の額は変わります。
この例では、年間の差は約27万円です。内訳は、建物ありが固定資産税約4.7万円と都市計画税約2.0万円、更地が固定資産税28万円と都市計画税6万円です。実際の額は土地ごとに違うため、手元の納税通知書の評価額と、都税事務所の見込み額で確かめるのが確実です。
この差額は、売却までの期間が半年なら半分、1年なら全額が、解体のコストとして上乗せされます。解体費用だけでなく、税の上乗せも含めて、更地にする意味があるかを数字で見ておくことをおすすめします。
江東区の除却助成と相談員派遣。申請の順番を間違えると使えない
江東区の老朽建築物除却助成は、昭和56年5月31日以前に着工した木造(または木造を含む混構造)の戸建て、長屋、共同住宅で、耐震性が十分でないと判断されるものが対象です。助成額は除却工事費の2分の1で、上限は100万円です。物置や門・塀の撤去は含められますが、地中の障害物や新築工事の費用は対象外です。
注意したいのは申請の順番です。区の交付決定の前に工事契約や着手をすると、助成の対象外になります。令和8年度の申請期限は令和9年1月29日、完了届の期限は同年2月26日と案内されており、年度ごとに変わるため、必ず区の最新のページで確認してください。
助成を使う場合の順番
- 事前相談区の窓口で、対象の建物か、必要書類は何かを確かめる
- 申請・交付決定決定の通知が届くまで、工事の契約や着手をしない
- 解体の契約・工事見積りを取り、交付決定後に契約して解体する
- 完了の届出期限までに完了届を出し、助成金の交付を受ける
- 滅失登記建物を取り壊したら、1か月以内に登記を申請する
共有者がいる場合や借地の場合は、同意書が必要です。相続したばかりで名義が整っていない家は、先に相続登記を済ませておくと、手続きが滞りにくくなります。
解体するかどうかが決まらない段階では、区の老朽空家等相談員派遣事業が役に立ちます。司法書士や行政書士を無料で派遣する制度で、活用・流通・除却などを考える所有者が対象です(法人を除き、前年度の住民税の滞納がないことなどが条件)。北砂三・四・五丁目のように不燃化特区の区域内なら、区の安全都市づくり課や不燃化相談ステーションで、除却や建て替えの助成、税の減免も確かめられます。
3,000万円の特別控除と相続登記。売る前に外せない2つの確認
相続した空き家を売るとき、一定の要件を満たせば、譲渡所得の金額から最高3,000万円を差し引ける特例があります。国税庁のNo.3306によると、主な要件は次のとおりです。昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、区分所有建物(マンション)でないこと、相続開始の直前に被相続人以外が住んでいなかったこと、相続から売却までのあいだ、事業・貸付・居住に使っていないこと、売却代金が1億円以下であること。
売却の期限は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、特例そのものの適用期限は令和9年12月31日です。相続が令和7年(2025年)以降の場合は、特例の期限である令和9年末のほうが先に来ます。令和6年1月1日以後の売却では、相続人が3人以上いる場合は、一人あたり2,000万円までに変わっています。
家屋については、耐震基準に適合しているか、解体して土地だけを売るかのどちらかが必要です。買主が売却後、翌年2月15日までに耐震改修か取壊しをする場合も、一定の要件で対象になります。「古家付きのまま売る」場合でも、特例が使える可能性があるので、解体前に税理士や税務署へ確かめてください。
解体してから別の用途に使うと、特例が外れる
家屋を壊したあと、売却までのあいだに駐車場として貸したり、自分で使ったりすると、要件を満たさなくなります。更地にした土地は、売却まで事業・貸付・居住に使わずにおく必要があります。
もうひとつは相続登記です。令和6年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が義務になり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。令和6年4月1日より前に相続し、まだ登記していない場合は、令和9年3月31日までに申請する必要があります。登記が済んでいない家は、売買契約を結んでも名義を移せないため、売却の手続きが止まります。登記を放置するリスクは相続登記を放置するリスクのページで案内しています。
売り先で手取りは変わる。古家付き・更地・買取を並べて比較する
先ほどの更地価格を、仮に4,500万円として、古家付きで売る場合と、解体して売る場合の手取りを比べます。古家付きは、更地価格から解体費用と買主の手間の見込みを引かれて、4,300万円で売れたと仮定します。数字は税引前で、仲介手数料は上限額(売買価格×3%+6万円、消費税込み)で計算しています。
手取りの比較(仮の数字)
| 古家付きのまま | 解体して更地 | |
|---|---|---|
| 売却価格 | 4,300万円 | 4,500万円 |
| 仲介手数料(上限) | 約148.5万円 | 約155.1万円 |
| 解体・登記の費用 | なし | 約155万円 |
| 更地期間の税の増加 | なし | 約27万円(1年) |
| 手取り(税引前) | 約4,151万円 | 約4,163万円 |
※解体150万円・滅失登記5万円は仮の数字です。税引前の目安です。
この例では、差は約12万円で、ほぼ同じです。解体してから売れるまでの期間が長引けば、古家付きのほうが手元に残ります。逆に、更地にしたことで買主が早く決まれば、更地のほうが有利になることもあります。決め手は金額の差より、売れるまでの時間と、解体費用を先に出せるかどうかです。
仲介で売る場合
仲介は、不動産会社が買主を探す方法で、一般の買主に売れるため、価格を高く出しやすい一方、売れるまでの期間が読みにくくなります。古い家は、買主が現地を見に来る前提のため、片付けや草刈りなど、売主の負担が残ります。売却後に雨漏りなどが見つかった場合の責任(契約不適合責任)についても、契約で取り決めておく必要があります。
買取で売る場合
買取は、不動産会社が直接買う方法です。仲介手数料がかからず、家財が残ったまま、解体せずに現状で引き渡せる場合が多い一方、価格は仲介より低めになる傾向があります。売却後の責任を免責とする契約にする例が多く、遠方に住んでいて立ち会いが難しい、期限(相続税の申告や特例の期限)までに間に合わせたい、といった事情に向いています。
江東区の古家・相続空き家は、解体の前にご相談ください
MAIVERSEは中央区東日本橋に事務所を構え、中央区・墨田区・江戸川区・台東区・江東区の城東エリアに特化した買取会社です。江東区へは、隅田川を渡ってすぐ(都営新宿線で馬喰横山駅から森下駅まで2駅)の距離です。宅地建物取引士が直接ご相談に対応し、弁護士・司法書士・税理士とも連携しています。相続した空き家の売却では、遺産分割協議から相続登記・売却完了までの手続き費用を当社が全額負担します。
江東区の古家を売る前に、まず確認したい4つのこと
解体の見積りを取る前に、次の4点を確かめておくと、無駄な費用をかけずに済みます。
- 建物の着工時期が、昭和56年5月31日以前かどうかを、登記や確認済証で確かめた
- 前面道路が建築基準法上の道路か、再建築できる土地かを、区の窓口で調べた
- 相続登記を済ませたか、相続人の間で、誰が売却の手続きをするかを決めた
- 解体する場合は、区の交付決定を受けてから契約する流れを理解した
江東区の地域ごとの売却相談は、亀戸・大島・砂町エリアの売却相談はこちらから、区全体の案内は江東区のページから確認できます。売却の準備の進め方は売却前の準備のページに、家族の状況から相続トラブルになりやすい点を洗い出したい場合は相続トラブルのリスク診断にまとめています。空き家の相談は空き家の無料相談会で受け付けています。
参考資料(2026年10月確認)
よくある質問
- Q家財が残ったままの古家は、そのまま解体できますか?
- A解体業者によっては家財の撤去を見積りに含める場合と、別料金になる場合があります。家財が多いほど費用が上がるため、見積りを取る際に、残置物の扱いと処分費用を必ず確認してください。買取なら、家財が残ったままの状態で相談できる場合もあります。
- Q解体するとき、役所への届出は必要ですか?
- A床面積の合計が80㎡以上の建物を解体する場合は、建設リサイクル法に基づく届出が必要で、着工の7日前までが期限とされています。通常は解体業者が代行します。解体後は、1か月以内に建物の滅失登記を申請する義務があるため、あわせて確認してください。
- Q亡くなった親が老人ホームに入っていた家でも、3,000万円控除は使えますか?
- A被相続人が老人ホーム等に入所していた場合でも、入所の前に居住していた家で、入所後に貸付や事業に使われていないことなど、一定の要件を満たせば対象になります。要件は細かいため、国税庁のNo.3306と、区の確認書の手続きで確かめてください。
- Q解体前に査定を取るなら、どういう頼み方がよいですか?
- A古家付きのまま売る場合と、更地を想定した場合の2通りで価格を出してもらうと比べやすくなります。解体費用の見積りもあわせて取り、差額と、売却までに増える税額を並べて判断してください。
- Q相続人の一人が売却に反対していて、古家を売れません。どうすればよいですか?
- A共有名義の不動産は、全員の同意がなければ全体を売ることができません。まず売却しない理由を聞き、買取価格の根拠や手取りの計算を共有して話し合うのが基本です。話が進まない場合は、持分だけを売る方法や、弁護士・司法書士への相談も選択肢になります。


