増築で確認申請なしの家は売れる?未登記・違反の確かめ方と売却の注意点

増築で確認申請なしの家は売れる?未登記・違反の確かめ方と売却の注意点

この記事の要点

  • 建築基準法に違反建築物の売買を禁じる規定はなく、確認申請なしで増築した家も売却できる
  • 10㎡以内の増築で確認が不要になるのは防火地域・準防火地域の外だけで、確認が不要でも建蔽率・容積率は守る必要がある
  • 増築で床面積が変わったときは、変更の日から1か月以内に表題変更登記を申請する義務があり、怠ると10万円以下の過料の対象になる
  • 表題変更登記は現況を記録する手続きで、登記しても確認のない増築が適法になるわけではない

こんな方に読んでほしい記事です

  • 親が昔、確認申請を出さずに部屋やサンルームを増築したらしい家を売りたい
  • 登記簿の床面積と実際の家の広さが合わず、増築部分が未登記だと言われた
  • 「10㎡以内の増築なら届け出はいらない」と聞いたが、自分の家に当てはまるか分からない

確認申請を出さずに増築した家も売ることはできます。建築基準法には、違反のある建物の売買を禁じる規定がないためです。ただ、増築部分のせいで建蔽率や容積率を超えていれば、買主は住宅ローンを使いにくくなり、売り方は限られます。

売る前に確かめたいのは、その増築がそもそも確認の要らない工事だったのか、確認が要るのに出していなかったのか、そして登記に反映されているのかの3点です。この3つは別々の問題で、組み合わせによって売却への影響が大きく変わります。この記事では、増築のある家を売るときに出てくる疑問を、質問の形で一つずつ整理します。

増築のある家を売るまでの4ステップ
図解:増築のある家を売るまでの4ステップタップで拡大

Q. 確認申請なしで増築した家は、そもそも売れる?

売れます。ただし「増築部分に確認がない」という状態には、程度の違う3つのケースが混ざっています。確認がそもそも要らない規模の増築だった場合、確認が必要だったのに出していない場合、確認は取ったが登記だけしていない場合です。どれに当たるかで、買主の受け止め方も、売る前にできることも変わります。

増築の状態と売却への影響

確認不要の増築 確認なし(必要だった) 確認済み・未登記
建築基準法 手続き上の問題なし 違反の可能性 手続きは済んでいる
登記 未登記なら変更登記 未登記なら変更登記 変更登記が必要
住宅ローン 基準内なら使える余地 使いにくい 登記後は使える余地
売る前にすること 面積が基準内か確認 違反の範囲を特定 登記を整える

※一般的な傾向です。確認不要の増築でも、建蔽率・容積率などの基準を超えていれば違反になります。

3つのうち最も扱いが難しいのは、確認が必要だったのに出していないケースです。増築部分が建蔽率や容積率、防火の基準を満たしているかどうかを、誰も審査していないからです。とはいえ、確認を出していなくても結果として基準内に収まっている増築もあり、確認がないことだけで価格が決まるわけではありません。

建蔽率・容積率オーバー全般や、検査済証がない家の扱いは違反建築物件の売却のコラムで詳しく書いています。この記事では、後から行った増築に絞って説明します。

Q. 10㎡以内の増築なら、確認申請はいらなかったのでは?

半分は正しく、半分は誤解です。建築基準法6条2項は、防火地域と準防火地域の外で、増築する部分の床面積の合計が10㎡以内なら、建築確認の規定を適用しないと定めています。裏を返すと、防火地域・準防火地域の中では、10㎡に満たない小さな増築でも原則として確認が必要です。

都市部の住宅地は、準防火地域に指定されている場所が多くあります。「6畳(約10㎡)までなら届け出は要らない」という話は、この地域指定の条件が抜け落ちたまま広まっていることが少なくありません。自宅が防火・準防火地域かどうかは、市区町村の都市計画図や窓口で確認できます。

増築した場所は、防火地域・準防火地域の外で、増えた床面積は合計10㎡以内?

YES確認は不要だった可能性が高い。ただし増築後の建蔽率・容積率が基準内かは別に確かめる
NO原則として確認が必要だった工事。確認済証の有無と、超えている基準を調べる

確認が要らなくても、基準を守らなくてよいわけではない

見落とされやすいのが、確認が不要なことと、建蔽率・容積率などの基準を守らなくてよいことは別だという点です。建築確認は、基準に合っているかを工事の前に審査してもらう手続きにすぎません。10㎡以内の増築で確認が要らなかった場合でも、増築後の建物が建蔽率や容積率を超えていれば、違反建築になります。

反対に、都市計画区域の外にある木造2階建ての住宅などは、2025年3月までは増築を含めて建築確認の対象外でした。昔の増築について確認の有無を問うときは、今の基準ではなく、工事をした当時の法令と地域の指定で判断します。

2025年4月の改正で、何が変わったか

2025年4月から、いわゆる4号特例(小規模な木造住宅について確認の範囲や審査を省く制度)が縮小されました。国土交通省の資料では、木造2階建てや延べ面積200㎡を超える木造平屋は「新2号建築物」となり、全ての地域で建築確認・検査が必要になったうえ、大規模な修繕・模様替(主要構造部の一種以上の過半の改修など)も確認の対象になっています。

この改正は、改正前に終わった増築を後から違反にするものではありません。影響が出るのは、売った後に買主が行う工事の方です。買主が大規模なリフォームを計画すると確認が必要になり、国交省の資料にあるとおり、現行法に適合していない箇所があれば別に適合させる工事を求められる場合があります。確認のない増築部分を残したまま買って、後から全面改修するという計画は立てにくくなりました。

Q. いつ、どこを増築したのか分からない家はどう調べる?

相続した家では、増築の時期や範囲を知っている人がいないことがよくあります。その場合は、時期の違う書類に書かれた床面積を並べると、いつごろ、どれくらい増えたのかの見当がつきます。

増築の時期と範囲を調べる順番

  1. 建築計画概要書を取る新築時に確認を受けた床面積・建築面積
  2. 登記簿の床面積を見る最後に登記された時点の各階の床面積
  3. 課税明細書と比べる市区町村が把握している家屋の床面積
  4. 今の建物を測る建築士や土地家屋調査士に現況を確認
  5. 古い写真で時期を絞る家族の写真や国土地理院の空中写真

※建築計画概要書や台帳記載事項証明書は、建築当時の地番や建築主名が分かると探しやすくなります。

建築計画概要書と台帳記載事項証明書は、市区町村の建築担当の窓口で請求します。台帳に増築の確認の記録があれば、その増築は確認を受けていたことになります。記録がなければ、確認を受けていない可能性が高まります。

計算例:3つの書類の床面積を突き合わせる

敷地60㎡、指定建蔽率60%の木造2階建てを例にします。建築計画概要書の建築面積は36㎡、登記簿の1階床面積も36㎡でした。ところが固定資産税の課税明細書の床面積は、合計で8㎡ほど多くなっていたとします。

現地で測ると、1階の裏に約8㎡の部屋が増えていました。建築面積は36+8=44㎡、建蔽率は44÷60=約73%となり、上限の60%(36㎡)を8㎡超えています。この場合、増築部分は登記されておらず、確認も受けておらず、建蔽率も超えているという、3つの問題を同時に抱えていることになります。

同じ8㎡でも、もとの建物が建蔽率に余裕のある大きさで、防火・準防火地域の外にあれば、確認は不要で基準内に収まり、残る問題は未登記だけということもあります。角地の緩和などで上限が変わる場合もあるため、最後の判断は建築士に計算してもらってください。

課税明細書の床面積が登記より多いのは、市区町村が現地の調査で増築を把握し、課税に反映させている場合があるためです。逆に、課税明細書も登記と同じなら、増築部分には固定資産税がかかっていない可能性があり、売却の前後で市区町村から課税の見直しを受けることも考えられます。

Q. 増築部分が未登記でも売れる?登記すると違反が表に出る?

未登記のままでも売買の契約自体はできます。ただ、不動産登記法51条1項は、建物の床面積などの登記事項に変更があったときは、所有者が変更の日から1か月以内に変更の登記を申請しなければならないと定めています。正当な理由なくこれを怠ると、同法164条で10万円以下の過料の対象です。

実務でも、買主が住宅ローンを使う場合、金融機関は登記簿と現況が合っていることを求めるのが一般的です。そのため、売買契約で「売主が引き渡しまでに表題変更登記を済ませる」という特約を付けることがよくあります。

表題変更登記の手続きと費用の目安

増築部分の登記は、建物の表題部の床面積などを今の状態に直す表題変更登記(建物の表示に関する変更の登記)で行います。図面の作成と現地の測量が必要なため、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。

表題変更登記には原則として登録免許税がかからず、費用の中心は土地家屋調査士の報酬です。一般的な目安として10万〜20万円程度と言われますが、建物の形や資料の残り具合で変わるため、見積もりを取って確かめてください。増築した人の工事請負契約書や領収書があると、所有権を示す資料として役立ちます。

登記しても、違反が直るわけではない

ここで混同しやすいのが、登記と建築基準法の関係です。表題変更登記は建物の現況を記録する手続きで、増築部分が建蔽率や防火の基準に合っているかを審査するものではありません。そのため、確認を受けていない増築部分も登記できるのが一般的ですが、登記できたからといって適法になるわけではありません。

「登記すると違反が役所に知られるのでは」と心配する方もいます。違反の有無は、登記の有無ではなく、建物そのものが基準に合っているかで決まります。登記を避けても違反は消えず、買主には説明する必要があるため、登記は登記、違反は違反として、別々に整理する方が話が進みやすくなります。

Q. 是正してから売る?それとも、そのまま売る?

確認のない増築で基準を超えている場合、取れる方法は大きく3つです。どれが合うかは、増築部分を取り除いた後の家に、一般の買主がローンを組んででも欲しいと思う価値が残るかどうかで分かれます。

  • 01増築部分を撤去して基準内に戻す減築の工事費がかかり、床面積は減る。基準内に戻れば一般の買主が候補になる
  • 02未登記の登記だけ整えて現状で売る違反は残るが、登記と現況のずれは解消できる。買主は現金購入者が中心
  • 03何もせず現状のまま買取に出す工事も登記も買主側で引き受ける形。価格は低めだが、早く確実に手放せる

確認を受けずに建てた増築部分について、後から確認だけを取り直す仕組みは一般的にはありません。基準を超えている部分を撤去するか、基準に合うよう改修するのが是正の基本です。工事の規模によっては、是正工事そのものに確認が必要になる場合もあるため、工事の前に建築士に計画を立ててもらい、市区町村の建築指導の窓口に相談してください。

撤去で基準内に戻せても、もともとの建物が古い、検査済証がないといった事情があれば、ローンが使えるとは限りません。減築の見積もりと、現状のまま売った場合の価格を並べ、手元に残る金額で比べるのが確実です。

住宅ローンが使いにくいと、買い手はどう変わるか

金融機関は担保の建物が法令に合っているかを重視するため、確認のない増築で基準を超えている家は、融資の対象外とされたり評価が下がったりすることが多いと言われます。扱いは金融機関ごとに違い、一律の基準は公表されていません。

ローンが使いにくい場合、買い手は現金で買える個人や投資家、訳アリ物件を扱う買取業者が中心になります。仲介で一般の買主を探すと、内覧で気に入ってもらえても、融資の審査で話が止まり、売り出しが長引くことがあります。

一方、確認不要の範囲で基準内に収まっていて、問題が未登記だけなら、登記を整えれば一般の買主に売れる余地は十分にあります。最初の章の表のどこに当てはまるかを確かめてから、仲介か買取かを選ぶと、遠回りを避けられます。

増築部分が「離れ」や「物置」の場合

母屋と別棟の離れや、基礎のある物置を後から建てた場合は、敷地全体の建築面積・延べ面積に算入されるため、母屋だけでは基準内でも合計で超えることがあります。登記も、母屋の附属建物として登記するか、別の建物として登記するかの判断が必要です。撤去が比較的しやすい分、是正の選択肢を取りやすいケースでもあります。

Q. 買主には、何をどこまで伝えればいい?

分かっている事実はすべて伝えます。具体的には、増築した時期と場所、床面積、確認申請の有無、登記の有無、建蔽率や容積率を超えているかどうかです。売主が買主に渡す告知書(物件状況等報告書)に書き、分からない点は「不明」と書き分けます。

仲介で売る場合、宅地建物取引士は重要事項説明で、登記簿の内容や建蔽率・容積率などの法令上の制限を説明します。売主から増築の経緯を聞いていれば、その内容も説明されるのが一般的です。説明の内容と告知書が食い違うと、後で揉める原因になります。

契約後に違反や未登記が分かった場合、買主は民法562条以下の契約不適合責任に基づいて、修補や代金の減額、損害賠償、契約の解除を求めることがあります。古い家の売買では、売主がこの責任を負わない特約を付けることがよくあります。

免責の特約があっても、知っていた増築は伝える
民法572条は、契約不適合責任を負わない特約があっても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れないと定めています。「親から確認を取っていないと聞いていた」という程度の認識でも、伝えずに売れば、この規定にかかる可能性があります。

相続した家で増築の経緯を知らない場合は、前の章の方法で調べた結果を、根拠の書類とともに渡すのが誠実なやり方です。推測で「確認は取っているはず」と書くことは避けてください。

増築の経緯が分からない家も、現状のままご相談いただけます
MAIVERSEは中央区・墨田区・江戸川区・台東区・江東区の城東エリアに特化した買取会社です。宅地建物取引士が直接ご相談に対応し、役所の記録や登記と今の建物を照らし合わせて増築の中身を確かめたうえで、撤去や登記をせずに現状のまま買い取る価格をご提示します。弁護士・司法書士・税理士とも連携しています。相続した空き家では、遺産分割協議から相続登記・売却完了までの手続き費用を当社が全額負担しています。

増築のある家を売る前に、照らし合わせたい4つの床面積

売却の相談に行く前に、4つの床面積を手元にそろえておくと、増築の問題がどの程度のものかを具体的に話せます。1つ目は建築計画概要書の面積、2つ目は登記簿の面積、3つ目は固定資産税の課税明細書の面積、4つ目は今の建物の実際の面積です。

この4つが同じなら、増築はないか、確認と登記が済んでいる可能性が高くなります。概要書より登記が大きく、台帳に増築の確認の記録がなければ、登記はしたが確認を受けていない増築が疑われます。課税明細書や実測だけが大きいなら、登記されていない増築があると考えられます。あわせて、自宅が防火・準防火地域かどうかと、指定建蔽率・容積率を都市計画図で確かめておけば、確認が必要だった工事かどうかと、基準を超えているかどうかの見当がつきます。

書類がすべてそろわなくても、分かる範囲で比べるだけで、次に調べることがはっきりします。増築の時期や範囲が分からない段階でも、訳アリ物件の無料相談会で手元の書類からご一緒に確認できます。

参考資料(2026年10月確認)

よくある質問

Q増築したのは数十年前です。今から行政に指摘されることはありますか?
A建築基準法9条は、違反建築物について特定行政庁が是正を命じることができると定めており、年数が経ったことだけで違反がなくなるわけではありません。実際には命令の前に行政指導が行われるのが一般的で、扱いは自治体や違反の内容によって異なります。
Q増築部分の工事をした工務店が分からず、図面もありません。登記はできますか?
A土地家屋調査士が現地を測量して図面を作るため、工事の図面がなくても登記できる場合が多いです。ただし、所有者であることを示す資料が求められることがあるため、工事の領収書や固定資産税の書類など、残っているものを集めておいてください。
Q増築部分を自分で取り壊してから売れば、違反ではなくなりますか?
A基準を超えていた部分を撤去して基準内に戻れば、違反の状態は解消に向かいます。ただし、取り壊した記録がないと買主や金融機関に説明しにくいため、工事の前に建築士に相談し、撤去後の状態を書面に残しておくと安心です。撤去後は建物の床面積が減るため、表題変更登記も必要になります。
Qカーポートやウッドデッキを後から付けた場合も、増築になりますか?
A屋根と柱があるカーポートは建築物に当たり、建築面積に算入される場合があります。ウッドデッキは構造や使い方によって扱いが分かれるため、建蔽率への影響を含めて、市区町村の建築指導の窓口か建築士に確認してください。
Q買取で売る場合も、未登記の増築部分は先に登記しないといけませんか?
A買主が現金で買う場合は、登記をせずに現状のまま引き渡す条件で契約することもあります。どちらが登記の手続きと費用を負担するかは、契約の前に書面で取り決めておいてください。

監修

三好 舞代表取締役/宅地建物取引士

株式会社MAIVERSE代表取締役。宅地建物取引士。中央区・墨田区・江戸川区・台東区・江東区の城東エリアで空き家・訳アリ物件の買取に携わり、再建築不可・借地権・相続空き家などのご相談に直接対応している。弁護士・司法書士・税理士と連携し、相続不動産の売却をワンストップで支援。