借地権付き建物の売却|地主の承諾・承諾料の相場と流れを図解

借地権付き建物の売却|地主の承諾・承諾料の相場と流れを図解

この記事の要点

  • 借地権付き建物の売却には、原則として地主の承諾(譲渡承諾)が必要
  • 譲渡承諾料の相場は借地権価格の10%程度が一般的な目安
  • 地主が承諾しない場合は、裁判所に「借地非訟」を申し立てて許可を得る方法がある
  • 売却先は第三者・地主・底地との同時売却・買取業者など。交渉の手間を省くなら買取が早い

「親が借りていた土地の上の家を相続したけれど、どう売ればいいのかわからない」「地主さんに何と言えばいいのか不安」──借地権付き建物の売却は、普通の不動産と違って地主との調整が欠かせません。

この記事では、借地権付き建物を売るときに必要な地主の承諾、承諾料の相場、売却方法の選び方を、図解でわかりやすく解説します。

借地権とは?「土地は借りもの・建物は自分のもの」

借地権とは、建物を所有するために他人の土地を借りる権利のことです。土地の所有者(地主)に地代を払い、その土地の上に自分の建物を建てて住む、という形になります。

借地権と底地の関係

借地人(あなた) 地主
持っている権利 借地権+建物の所有権 底地(借地権が付いた土地の所有権)
お金の流れ 地代を支払う 地代を受け取る
売却するとき 地主の承諾が必要 借地人の同意なく売却可能

東京都内、特に台東区・墨田区・荒川区・江東区などの下町エリアには、戦前から続く借地が今も多く残っています。契約が古く、契約書が見当たらないケースも珍しくありません。

借地権の売却には「地主の承諾」が必要

無断で売ると契約解除のおそれ
借地権を第三者に譲渡するには、原則として地主の承諾が必要です(民法612条)。承諾を得ずに売却すると、地主から借地契約を解除される可能性があります。

なお、相続によって借地権を引き継ぐこと自体には地主の承諾は不要です。承諾が必要になるのは、相続した後に第三者へ売るときです。

承諾料(名義書換料)の相場

地主が譲渡を承諾する際には、「譲渡承諾料(名義書換料)」を支払うのが一般的です。主な費用の目安は次のとおりです。

借地に関する承諾料の一般的な目安

譲渡承諾料借地権価格の約10%
建替承諾料更地価格の約3〜5%

※地域の慣行・契約内容・地主との交渉により異なります。

地主が承諾してくれないときは「借地非訟」

地主が正当な理由なく譲渡を承諾しない場合、借地人は裁判所に申し立てて、地主の承諾に代わる許可を得ることができます(借地借家法19条)。これを「借地非訟(しゃくちひしょう)」といいます。

地主の承諾が得られない場合の流れ

  1. 地主に譲渡の承諾を依頼買主の候補・条件を示して相談する
  2. 承諾が得られない承諾料の金額で折り合わない・連絡がつかないなど
  3. 裁判所へ借地非訟を申立て譲渡の許可を求める。裁判所が承諾料なども判断
  4. 許可が出れば売却が可能に地主には優先して買い取る「介入権」もある

※借地非訟は申立てから決定まで半年〜1年程度かかることもあります。

借地権付き建物の5つの売却方法

  • 01第三者に売却地主の承諾を得て一般の買主へ
  • 02地主に売却地主が借地権を買い戻す。承諾料不要
  • 03底地と同時売却地主と協力して土地を完全所有権で売る
  • 04等価交換借地の一部と底地の一部を交換して分ける
  • 05買取業者に売却地主との交渉ごと業者に任せられる
  • +迷ったらまず借地に強い専門家へ相談

借地権は住宅ローンの審査が厳しく、一般の買主が見つかりにくい傾向があります。地主との交渉や承諾料の調整まで任せたい場合は、借地権の買取に慣れた業者に依頼するとスムーズです。

借地権の価格はどう決まる?

借地権の価格を考える目安として、国税庁の路線価図に記載された「借地権割合」があります。都内の住宅地では60〜70%程度の地域が多く見られます。

計算例(あくまで目安)
更地価格5,000万円 × 借地権割合60% = 借地権の評価額3,000万円
ただし、これは相続税評価の考え方です。実際の売買価格は、地主の承諾の有無や建物の状態によって、これより低くなるのが一般的です。

売却前に確認しておきたいこと

  • 借地契約書(なければ地代の領収書・振込記録)
  • 契約の残り期間と、旧法借地権か新法借地権か
  • 建物の登記名義(相続した場合は相続登記が済んでいるか)
  • 地代の滞納がないか
  • 地主の連絡先と、これまでの関係性

MAIVERSEなら地主との調整もまとめて対応

MAIVERSEは借地権・底地の物件も積極的に買い取っています。宅地建物取引士が地主との条件調整をサポートし、必要に応じて弁護士・司法書士とも連携します。相続した借地権の場合は、相続登記の費用も当社が負担します。

まとめ

  • 借地権付き建物の売却には、原則として地主の承諾が必要
  • 譲渡承諾料の目安は借地権価格の10%程度
  • 承諾が得られなければ借地非訟という手段もある
  • 交渉の手間や時間を省くなら、借地権に強い買取業者への相談が近道

「地主さんとの話し合いが不安」という方も、まずはお気軽にMAIVERSEの無料査定をご利用ください。

よくある質問

Q借地権付きの家は地主に黙って売れますか?
Aできません。借地権を第三者に譲渡するには原則として地主の承諾が必要で(民法612条)、無断で譲渡すると借地契約を解除されるおそれがあります。必ず事前に地主へ相談しましょう。
Q譲渡承諾料の相場はいくらですか?
A一般的には借地権価格の10%程度が目安とされています。ただし地域の慣行や地主との関係、契約内容によって変わるため、個別の交渉で決まります。
Q地主が売却を承諾してくれない場合は?
A借地借家法19条に基づき、裁判所に「借地権譲渡許可の申立て(借地非訟)」を行うことで、地主の承諾に代わる許可を得られる場合があります。時間と費用がかかるため、専門家や借地権に強い買取業者への相談がおすすめです。
Q相続した借地権も売却できますか?
Aできます。相続による借地権の取得自体には地主の承諾は不要ですが、相続後に第三者へ売却する際は承諾が必要です。まずは相続登記で建物の名義を相続人に変更しておきましょう。

執筆

株式会社MAIVERSE 編集部

東京都・千葉県・埼玉県で空き家・訳アリ物件の買取を行う不動産会社です。すべてのご相談に宅地建物取引士が対応し、弁護士・司法書士・税理士と連携して相続不動産の売却をワンストップで支援しています。(宅地建物取引業 東京都知事(1)第112592号)